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ネズミを思わせる髭面のマスターにコーヒーとハンバーガーを頼んだ。
「ふ~~。雷蔵様~~。お肉だけでは~よくないですよ~。それと、アンジェから連絡がきました~~。今現在、数体のノウハウと交戦中だそうで~~す」
窓際のテーブル席で向かいのヨハが心配そうな声をだした。
「雷蔵様。C区は何を欲しがっているのでしょうか?」
僕の隣のマルカは窓際にいる。
「うん。僕にも解らない……。それに、かなり本格的に襲ってきているね。まあ、10憶
円分の何らかのデータがかかっているから当然だけれど。スリー・C・バックアップ……一体何なのかな? 」
僕は欠伸をした。
「どうぞ」
マスターが熱々のハンバーガーを持って来て、コーヒーをテーブルの上のカップに淹れてくれた。
「……どうも」
僕はハンバーガーをかじる。
「雷蔵様。アンドロイドのノウハウをより人間に近づけることが、C区の全面技術提供案。スリー・C・バックアップの要なのですから……。私は思います。きっと、何か裏があるのではないのでしょうか?」
マルカは小首を傾げて疑問を呈した。
「雷蔵様~~。アンジェが心配です~~」
ヨハは俯いた。
「それは……そうだね」
僕はそう言うと、コーヒーを啜った。
窓には夕日が見えていた。
遊歩道にはジョギングをする若者たちがいた。
僕は考えた。敵がそこまでしてくるには大きな理由がある。
それは一体?
九尾の狐は関与しているのだろうか?
そうであるならば、どこまで関与しているのだろうか?
スリー・C・バックアップの裏は一体何なのだろうか?
それに、あの坂本 洋子(九尾の狐)からの謎の電話は……?
ゆっくりとコーヒーを楽しんで、一息入れると。僕たちはフェラーリで今度は高速に乗って再びA区に向かった。
「雷蔵様~~。やったです~~。今、アンジェが敵を掃討しました~~。そして、やはりC区の興田様が指令をしていま~す」
運転中に隣のヨハが自宅のアンジェの状況を報告した。
「それはよかった……C区はまだ僕たちが九尾の狐の仕業じゃないと気が付いてることは、知らないはずだし巻き返しも面白い」
僕は前方を見つめて不敵に笑う。
「ねえ、ヨハとマルカ。このまま僕たちはしばらくの間は、九尾の狐のせいだと思って戦っていようよ」
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