捜索

8/15

11人が本棚に入れています
本棚に追加
/99ページ
 ネズミを思わせる髭面のマスターにコーヒーとハンバーガーを頼んだ。 「ふ~~。雷蔵様~~。お肉だけでは~よくないですよ~。それと、アンジェから連絡がきました~~。今現在、数体のノウハウと交戦中だそうで~~す」  窓際のテーブル席で向かいのヨハが心配そうな声をだした。 「雷蔵様。C区は何を欲しがっているのでしょうか?」  僕の隣のマルカは窓際にいる。 「うん。僕にも解らない……。それに、かなり本格的に襲ってきているね。まあ、10憶 円分の何らかのデータがかかっているから当然だけれど。スリー・C・バックアップ……一体何なのかな? 」  僕は欠伸をした。 「どうぞ」  マスターが熱々のハンバーガーを持って来て、コーヒーをテーブルの上のカップに淹れてくれた。 「……どうも」  僕はハンバーガーをかじる。 「雷蔵様。アンドロイドのノウハウをより人間に近づけることが、C区の全面技術提供案。スリー・C・バックアップの要なのですから……。私は思います。きっと、何か裏があるのではないのでしょうか?」  マルカは小首を傾げて疑問を呈した。 「雷蔵様~~。アンジェが心配です~~」  ヨハは俯いた。 「それは……そうだね」  僕はそう言うと、コーヒーを啜った。  窓には夕日が見えていた。  遊歩道にはジョギングをする若者たちがいた。  僕は考えた。敵がそこまでしてくるには大きな理由がある。  それは一体?  九尾の狐は関与しているのだろうか?  そうであるならば、どこまで関与しているのだろうか?  スリー・C・バックアップの裏は一体何なのだろうか?  それに、あの坂本 洋子(九尾の狐)からの謎の電話は……?  ゆっくりとコーヒーを楽しんで、一息入れると。僕たちはフェラーリで今度は高速に乗って再びA区に向かった。 「雷蔵様~~。やったです~~。今、アンジェが敵を掃討しました~~。そして、やはりC区の興田様が指令をしていま~す」  運転中に隣のヨハが自宅のアンジェの状況を報告した。 「それはよかった……C区はまだ僕たちが九尾の狐の仕業じゃないと気が付いてることは、知らないはずだし巻き返しも面白い」  僕は前方を見つめて不敵に笑う。 「ねえ、ヨハとマルカ。このまま僕たちはしばらくの間は、九尾の狐のせいだと思って戦っていようよ」
/99ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加