九尾の狐

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 僕はそれを聞いて、スカイラインを地下へと走らせ、駐車場を探した。金網フェンスで囲まれた砂利が敷き詰められた駐車スペースをすぐに見つける。  道路沿いの脇にあった。  地下の那珂湊商店街は、それぞれ一番から十番まで十字路の入口にそれぞれ花柄のアーチがあり、通路を挟んで立ち並ぶ店などには、種々雑多なショーウインドーに電化製品から食品。工具や衣料品などを揃えていた。  僕はマルカとヨハを連れて、三番アーチを探す。  行き交う人々は平和な顔をしている。昔と違って、今の社会全体が平和になったので、あまり気にしたことがなかったが、とてつもなく素晴らしいことだと思えてきた。  僕はその素晴らしいことを壊そうとしたのだ。  僕は一体? 「雷蔵様」  マルカの声ではたと気が付く。 「雷蔵様~~。上の空から戻りませんと~~。あそこの人です~~」  僕はヨハの指差す人物を確認した。  三番アーチの中央に立つ女性がいた。二体のノウハウを連れ、こちらを見つめていた。行き交う通行人はこちらを見ると、笑顔が薄れどこか緊張した顔になる。 「お金が先よ。あなたを数体のノウハウがライフルで狙っているから」  紫色の口紅と赤い長髪、大きなサングラスが印象的な長身の30代の女だった。白い派手なスーツ姿だった。一定の距離で立ち止まっている。 「君が……。九尾の狐だね」 「お金は?」 「雷蔵様……周囲に狙撃銃を持ったノウハウが6体隠れています」  マルカの声にヨハも険しい顔をしていた。  僕は気にせずに話をした。 「確か10憶だったっけ。後、原田はどこ?」 「違うわ……20億よ」 「20……ちょっと高くないかな?」 「私の方が有利……命よりお金が大切なら断ってもいいわ」  僕は舌打ちしてマルカに目で合図をした。  マルカはこくんと頷くと、九尾の狐のところへ僕のマイナンバーカードを持って行った。  両手を挙げてマルカが近づくと、金を貰うべく九尾の狐は、隣のノウハウに指示をだし、小型の端末(パソコン)を持ち出させた。精算すると、ノウハウが首を傾げた。 「……」 「僕との約束は10憶だったよね。命より金が大切なら請求してもいいけど」
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