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九尾の狐は小型の端末を開いて見せ、僕のマイナンバーカードを差し込んだ。支払った10憶の金が戻ると、九尾の狐が別の検索画面を写した。僕は気になった部分を見た。それには、こう書かれていた文があった。
「ノウハウに5千万人の老人の介護をさせる?」
「そう……C区は元々B区の一部で、前奈々川首相(晴美の父親)は老人福祉も視野に入
れていたの。ノウハウが介入すれば、この国は安泰だということになるわね。何故ならお金があまり掛からないから……」
九尾の狐はそう指摘した。
「うーん。それくらいのことだったのかな?」
「それだけじゃないわ。現奈々川首相(晴美)はこの計画には前々から反対していたの」
河守が言った。
確かに晴美さんならそうするだろう。
「変だよ。晴美さんは可決したはずだ。……それに、そんなことでは僕たちは襲われない」
「違うわ!」
河守は急に真面目な顔をして叫んだ。
「この計画には裏があるの。エレクトリック・ダンス……。スリー・C・バックアップは表向きなの。……その裏では65歳以上のお年寄りを強制的に介護福祉を必要とさせる状態にしてしまい。利益をA区から機械的に搾取していくことを目的とし、この表舞台(社会)から老人を完全に退場させる。そう、隔離をして利益を自然に生み出すための道具にしてしまう計画。それが、エレクトリック・ダンスよ。そして、もう一つ……可能性として高いのは……現奈々川首相の暗殺よ」
「そんな……」
僕は呆然とした。
気が遠くなる一歩手前で河守が僕の顔を覗き込んだ。
「大丈夫……雷蔵さん。現奈々川首相はエレクトリック・ダンスに絶対反対なのは、目に見えているわ。現奈々川首相の暗殺はかなり高い可能性だと思うの。私と姉さんはそれを阻止することにしたの。だって、A区に住んでいる私たちにとって、また非人間的な社会になったら搾取されるだけになってしまうから……。スリー・C・バックアップのデータと共にエレクトリック・ダンスのデータを盗んだら、C区の陰謀を知って狙われたんだけど。後、原田さんには協力してもらっているわ」
「え? 僕の指示で動いた原田が最終的に頼んだのでは?」
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