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「つまり、偶然にも雷蔵様と原田様と目的のスリー・C・バックアップだけが一致していたと……。そして、そのスリー・C・バックアップのデータを一足早く河守様たちが入手して、その裏のエレクトリック・ダンスに気が付いたのですね」
僕の隣のマルカが言葉の内容を整理した。
「ええ。そうなるわね……それで原田さんと一緒にC区が怖くて今までこそこそ隠れていたの。けど、姉さんが真っ先に盗んだスリー・C・バックアップのデータは、元々はどんな企業でも欲しがっているわ。ダミーだったけどね……。そして、たまたま矢多辺コーポレーション……同じ会社に勤務している雷蔵さんが一番に競争相手を蹴散らすことが出来たのよ。原田さんがすぐにこっちに気が付いたし……」
河守の言葉に原田は苦い顔をした。
原田は昔、有能なフリーの探偵だった男だ。
治安がよくなってから、僕の利用と雇用がごっちゃになった関係で友人となっていた。
「雷蔵さん~。これからどうしようか~」
原田は心配げな声をしている。
「いつ頃、スリー・C・バックアップのデータの裏に気が付いたのかな?」
僕は話の順序を整理するために言った。
「それも四日前よ」
九尾の狐がいとも簡単にそう言った。
「あの電話は一体?」
「少しややこしいけど、聞いてね」
河守がニッと笑ったがすぐに俯いた。
「最初は本当にお金だけが目当てだったのよ。スリー・C・バックアップのデータを誰かに10憶で買ってもらいたかったの。だけど、スリー・C・バックアップの裏に気が付いて、10憶どころじゃないって大騒ぎ」
河守は力なく笑うと、
「最初は、私と姉さんがC区を警戒していればいいだけと思ったの。それで、A区に引っ込んだんだけど……」
原田はマルカの肩を撫でて、
「でも、俺はそんなんじゃダメだって言ったのさ。相手が巨大すぎる……」
河守は俯きながら、
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