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「そう、それで私たちに関わった原田さんがある計画を考えたのよ。雷蔵さんをおびき寄せて協力してもらえばなんとかなるって。元々、C区は私たちと雷蔵さんが絡んでいる情報は何らかの方法で入手しているわ。だから、あなたを狙っていたはずなのね。電話で全てを話してしまうと、こちらの居場所も気が付いてしまう……。相手は多分、高度な盗聴か何かで私たちの動向を探っているようね。……私たちの居場所がばれると命に関わるわ。でも、とっても強い雷蔵さんがここまで来たら、当然、私たちの勝ちよ……」
そこまで話すと河守は僕の顔を見つめて、ニッと笑った。
「ちょっと、待ってくれ。何故僕のなさ」
「それは簡単。雷蔵さんほど強い人がこの日本にいるかしら?」
僕は吹き出した。
「……解った。君たちは凄いんだね」
僕があっさりとした会話にすると、
「もうー。雷蔵さんはそうやって、命を無駄にしそうだから、大変なのよ……」
河守が辟易して、続けた。
「まさか電話で言うわけにはいかないでしょ……。こんなことだもの……。雷蔵さんがこ
っちへ(A区)こないといけないし……簡単に言うと危険を知らせてこっちに来てもらうってわけ……」
原田はマルカの肩に馴れ馴れしく手を置いている。
「いやー、敵がC区だからこれから大変だねー。あ、雷蔵さん。これからどうするの?」
原田は少し震えている声で気楽に言った。
「多分、敵はエレクトリック・ダンスを僕が知るのを感づいているはず」
「そうだねー。そうだよー」
原田は首を捻り、色気づいて今度はヨハに抱きついた。
「雷蔵様~~。正攻法~~。C区と戦争をするのは~どうですか~~」
「うーん……まずは、できるだけ情報を集めようよ。こっちには九尾の狐と原田がいるんだし。エレクトリック・ダンスのことをもっと知ったほうがいいと思うんだ」
と、その時にマルカが立ち上がり、緊張したヨハが原田を押しのけた。
「雷蔵様~~!! 警戒して下さい~!! 敵が来ました~。C区のノウハウが10番アーチと5番アーチと1番アーチから、それぞれ5体来ました~~!!」
「喫茶店の裏から逃げましょう!!」
九尾の狐は小型の端末を折り畳みショルダーバッグに入れると、カウンターの奥の喫茶
店のマスターに合図を送った。
喫茶店のマスターは遠くで頷くと、こっちへ来いと手を振り誘導した。
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