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「雷蔵さん。云話事サイバータウンの情報屋に向かったマルカちゃんや、俺が聞いた博田 定則。二つの情報を合わせると、どうやら、敵はC区の霧島インダストリー社の興田 守だけじゃないんだ。敵は大勢いる。裏でC区の重役のほとんどが関わっているみたいなんだ」
マルカはキッチンへ行くと原田のために紅茶を淹れた。
「そうか……。まあ、10憶の金くらいじゃ済まない計画だから。C区がこぞって関わるのは、仕方ないかな」
僕は欠伸をしながらそういうと、九尾の狐の方へと向かう。
九尾の狐は相変わらず砂糖を大量に入れたコーヒーを飲んで、質素なテーブルで端末をカタカタと弄っていた。その顔は疲れを知らないかのようだ。
「何か情報は入ったかい?」
僕の言葉に、
「ええ。でも、もう少しだけ待って……」
しばらくすると、九尾の狐は端末から顔を上げ、河上を呼んでこちらに向いた。
「まずはエレクトリック・ダンスの話からね。今ある情報だと確かに5千万人の老人を社会から隔離して介護や援助をノウハウが独占する。それに、変わりはないわ……。ただ、利益を国から永続的に搾取するだけじゃなさそうね。まだ、裏があるわ」
「姉さん。それって、どういう事。まだ、何かあるの?」
「ええ」
僕は事の大きさにまた欠伸が出そうになったが、
「まだ……裏がある……か」
僕は欠伸をした。
「後、現奈々川首相の暗殺は二週間後の選挙の時のようね」
僕はそれを聞いたら真っ青になった。
「どうしよう……晴美さん……」
気が遠くなりそうで、仕方ない。
アンジェとマルカとヨハを連れて、C区と戦争するにも敵が多すぎるし、不明なところも多い。
「雷蔵様~~。大丈夫ですから~みんないるじゃないですか~~」
原田が抱きついているヨハが自信のある声を出した。
「そ……そうだね」
河守は僕を見つめると、
「あなた……。少し強くなったわよ」
「へ……?」
「そうね……14日後の現奈々川首相の暗殺を阻止するために、これからどうするのか具体的に考えましょ」
河守が普通の美貌の髪をなびかせ、白いテーブルに腰かけた。
「まずは、戦力。当然そっちは雷蔵さんに頼むわ」
「ああ……それは大丈夫だ」
僕にはアンジェたちがいる。普通のノウハウよりもとても強い特別なアンドロイドだ。
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