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島田がノウハウの集団に向かってすぐさま発砲する。
その前方をマルカが体を盾にすると、マシンピストルを構えて撃ちだしていた。
淀川に向かってしゃがんでいる河守には銃を抜いたヨハが体をバリケードのようにしていた。
ヨハとマルカが被弾していく。
相手の大勢いるノウハウにも青い火花を発し壊れたものがでてきた。
激しい銃撃戦の中、周囲の近所の人々が起き出した。弥生と原田は武器を構え廊下から身を低くして発砲を続ける。広瀬も震えながら廊下から事の成り行きを見守っていた。
僕は生まれて初めて戦争を体験することになった。
大量のノウハウは皆、無言で撃って来る。
「河守様!!」
見ると、河上が淀川の隣で血を流して倒れていた。
その姿を見た僕は頭の中で、突然、何かがキレた。
「このヤロー!!」
気が付くと、僕は廊下から叫んでノウハウの集団へと走り出していた。
マルカとヨハが驚いて、僕の後を追った。
撃たれた島田が倒れた。僕の頭は目の前のノウハウの集団だけだったが、左足と腹部などに激痛が走る。数え切れないほどの銃弾が飛び交う中。倒れた僕にヨハが覆い被さる。
悲鳴と銃声が往復する中。
「雷蔵様~~大丈夫ですよ~~。河守様なら~~。藤元様の不思議な力で~~すぐに生き返りま~~す。大丈夫ですか~~」
ヨハが赤子をあやすように僕の頭を撫でていた。
広瀬も弥生も撃たれていった。
原田は室内へと駆けだした。
僕は熱した金属棒を突き刺したような破裂しそうな頭をヨハに傾けていた。
涙が溢れ、ヨハの腕の中で泣いた。
「マルカ~~。近くの警察と救急車に連絡で~~す」
「了解!!」
マルカが銃撃戦をしながら、体内の通信を使う。
僕はヨハに守られ青緑荘の玄関まで運ばれた。
しばらく、僕は何も考えられなかった。
ヨハが僕の耳元で言った。
「もうすぐで~す、雷蔵様アンジェが重装備してこちらに来ますよ~~」
「河守…………」
僕は血を流して倒れている河守を見ていた。
河守の顔が見える。
笑ったように見えた。
かなり離れたところから、大きい爆発音がとどろいた。
「雷蔵様!! アンジェが来ました!! これからノウハウの掃討作戦に入ります!!」
マルカが叫ぶと、ノウハウがバラバラと倒れている遥か向こうからアンジェが走って来た。
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