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「……コホン。それと、これもいなくなる直前の藤元が言ってたんですが……。というかゲロさせたんですが……。あの日本屈指の大金持ちの矢多辺 雷蔵さんが日本史上最強のアンドロイド三体とC区と何かあったそうです。正確には話さないので、それが、何かは分かりません」
藤元がいないので、美人のアナウンサーは一人でマイクを持っている。背景には無残になった青緑荘が写っていた。
「矢多辺 雷蔵氏は昔はハイブラウシティ・Bで、日本を窮地に陥れようとした人物ですが、今となっては日本の救世主になるかも知れません。そう藤元が言っていました。何が起きているのかは解りませんが。番組はその雷蔵様を(私だけ)応援しているッス」
美人のアナウンサーはマイク片手にウインクすると、
「きっと、日本のために戦ってくれるはずです……」
番組はそこで終わった……。
アンジェとマルカが云話事・仁田・クリニックに着いた。
僕は大量の痛み止めと止血剤を買って、そうそうに病院を後にした。時折、塞がっているはずの傷が痛くてふらつくが、頭に突き刺さった金属棒はその熱で僕に冷静さや理性を一切与えなかった。
豪雨と強風の中。
ヨハが心配してついてきた。
病院の駐車場で、後ろからびしょびしょの僕を抱きしめた。
「雷蔵様~~。命を無駄にしてはいけませ~~ん」
「平気だ」
「雷蔵様。お休みください。C区は私たちが壊滅します。」
アンジェ。
「雷蔵様は治療を受けながら、私たちを見送ってください」
マルカ。
「いや……いいんだ」
僕はどうしても重要なことは、自分が立ち会わなければならない性格とは別に、何か激しすぎるものが勝手に僕を突き動かしていた。
拳銃のマカロフにアサルトライフル。グレネードが数個。アンジェたちはグレネードランチャーにサブマシンガンを携え、弾丸や弾薬の多さは町一つ潰せるほどだった。
警察では強力なアンドロイドが不正や危険なことを行っても、製造元が解らない場合。プログラムを書き換えたりするだけで、どうしようもないのが今の時代だ。アンドロイドと協力するにはやっぱりそれなりのリスクがあるのだろう。
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