戦争

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「なんだ!! やるのか!! やめておけ!! ……?」  暗い夜道で霞がかった目を凝らすと、僕が3年前に野球の試合で必死に戦った田場だった。がっしりした体つきの赤いモヒカン頭で、30代の怖い顔の男だ。 「お、矢多辺くんか。どうした怪我をして?」  急に優しい眼差しをした田場さんに、僕が事情を説明すると、田場さんは赤いモヒカンをいきりたたせ大きく頷いた。 「俺も行く。後、津田沼くんも参加させるからここでしばらく待っていろ。C区の悪い奴 らをぶっ殺してやる!!」 「いや、田場さんを巻き込みたくないんだ。狙ってすまない。僕とアンジェたちで戦う。オン鳥オール工場は壊さないことにするよ……」  僕は手短に言って頭を下げると、再び前方に目を向けて、急発進した。  オン鳥オール工場は昔、夜鶴が働いていたところだった。  今では島田と津田沼が働いている。  後方で、田場さんが残念がった顔をしていたが、大人しく職場へ向かったようだ。    C区の中心部に辿り着いた。赤いパトランプのついたバリケード封鎖がされたT字路の道路が前方に見えてきた。  C区が先回りして警察に通報したのだろうか。  それとも、云話事町TVのせいだろうか。  T字路へ向かう道路が鋼鉄製のバリケードで閉鎖されている。 「矢多辺 雷蔵さん!! 抵抗せずに両手を挙げて投降してください!!」  そう警告した警官隊に、僕は憤りを抱いた。  すぐさまアンジェに合図をした。  アンジェは警官のノウハウたちと人間の警官隊の中央にグレネードランチャーを不可視高速作業で数発撃ち放った。何発もの爆発と破壊の後、吹っ飛んだ警官隊やノウハウの部品が空へ舞った。生き残りはすぐに奥に退避していった。ノウハウはばらばらと破壊されていったが無事なものからすぐさま撃ってきた。警察機関の特殊サブマシンガンだ。  大量の弾丸は車に数発被弾していった。  二台の車に弾痕が出来たが、僕は無事だ。  すぐに助手席のヨハがアサルトライフルを窓越しに撃ち放って応戦した。警察機関のサブマシンガンは当然、アンジェたちにも被弾するのだが、弾丸がノウハウ用なので、アンジェたちに当たっても尽く跳ね返る。 「おい!! 撃つな!!」  バリケードの向こうから、警官隊のリーダーらしき男が一人こっちへ拡声器で大声を張り上げる。
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