片思い

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 値段が押し下げられていたり、危機に瀕したりしている投資商品を追い求めるファンドのことだ。  通称ハゲタカファンドとも言われている。  でも、追い求めているのは利益への可能性なんだ。  時にはあらゆるものの非合法擦れ擦れの横流しや売買もする。  どうしてかというと、全て未来での利益への可能性になるからだ。  僕は経済の神にとても近い存在でもある。  僕の父さんも神だった。  1年前に死んでしまったけれど。父さんほどの神は僕は知らない。  今日も夜の七時に会社が終わり、様々なネオンが照らすビルディングの谷間から、帰宅の道を黄色のスポーツカーで走っていた。夜風がもう11月だということを悟らせるくらいに、厳しい寒さへと変わっていた。車の名はランボルギーニというんだっけ。4座席のエストーケ(イタリア語で闘牛剣という意味)という僕の20台ある車の中で、一番気に入っている車だった。  自宅は云話事ベットタウンの西側に位置し、A区から一番遠い場所にある。昔は治安が相当悪かったのだけど、前にアンドロイドの「ノウハウ」が治安改善に全力で取り組み。今では夜道に酔っ払って寝ていても明日の朝には太陽が拝めるほどになった。  僕の家は103階建ての云話事帝都マンションの34階から66階だ。  原田は67階に住んでいる。 「お帰りなさいませ!!」  玄関を開けると、水色の服を着た使用人たちが僕の帰りを待っていた。スカーフを巻いたり、リボンをしたりとおしゃれな半袖のポロシャツというカジュアルスーツを着てい。  みんな可愛らしい顔立ちだ。  女の人たちだけれど、実はアンドロイドだ。家庭用でもあって防犯にも適していた。  数年前に他のボディガードと一緒に特注で揃えたんだけれど、治安がよくなってからは家庭の世話をやいてくれるだけとなった。今は人間のボディガードは誰も雇わない時代になった。 「夕食は何になさいますか?」 「いつものように」  僕は3体いるアンジェ、マルカ、ヨハに言った。  34階はキッチンルームだ。大きな厨房とレストラン並みの広いテーブルが複数。  その上には一階ずつにバスルームやトレーニングジム、バー、リビングルーム、和室などがあって、それぞれ45畳の広さがある。
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