戦争

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 僕は床に落ちたマカロフを脇目で見た。  対戦車用ライフルをこちらに向けるノウハウたちには効かないが、相手が人間なら……。 「そうだね……。この男がこの国のトップとなる。これから老人が活躍する世界が生まれる。そう……リサイクルとしてね。アンドロイドのノウハウが59パーセントのお年寄りの介護や援助をするのだ。年金は廃止され、65歳以上のお年寄りは老人ホームか在宅介護や在宅労働の対象にさせる。当然だが金はA区(老人が一番多い)から税として貰う。 国が集めた金で新たに介護用のプログラムを作っていく。老人が安泰になれるように、プログラムであるスリー・C・バックアップは世界水準のものを実地研究し作っていくのだよ。そして、世界に我が国のノウハウを羽ばたかせる。そう老人たちが国の利益へと換わるのだ。ここC区が世界へ羽ばたく。 それが、私たちが考案した永続的に日本の国を発展していくエレクトリック・ダンス(電気での踊り)だ。どうだ。この日本の技術力だから実現させることができる政策だ。安価で高度な技術を得たノウハウが5千万人の老人の介護や援助をし、それで得た収益を国の発展に流していく。そう電動式のリサイクルなのだよ」  興田が嬉しそうに話している。 「……やっぱり、父さんと同じだ…………人間性が……欠けている……」  僕は九尾の狐が言ったエレクトリック・ダンスの裏が、スリー・C・バックアップのデータを世界水準にしていくことだと知った。素早くマカロフに向かって飛ぼうとしたが、貧血と激痛ですんでのところで意識を失った。  再び目を開けると、そこは刑務所の中だった。  重犯罪刑務所の中だ。  殺風景な鉄格子に囲まれた。その中の医務室の白いベットの上に寝ていた。隣を見ると、複数の男たちが寝ている。 「アンジェ……マルカ……ヨハ…………」  僕は泣いていた。人間のように……。  ここからは、出られない。  もう二度と外へは出られないのだ……。 「お前さん……矢多辺 雷蔵だな……二日間もとても静かに眠っていたぞ……。もう死んだと思ったんだがな……」  右側に入院患者服の髭面の男がいた。  左側にもスキンヘッドの入院患者がいる。  二人とも白の入院患者服を着ていた。  右側の男は若い精悍な顔をしてるが、柔和な顔にとらわれる髭を生やしていた。
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