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「ごめんなさいね……。でも、その通りです。そこで、アンドロイドのノウハウには老人の介護が出来る程の繊細な動きが、今はまったくできません。そこで、老人の介護や援助もできるアップデートプログラムのスリー・C・バックアップを可決したのです。が、問題はその後なのです。介護をするのは家族や雇った人たちだけです。けれど、その人達も後で介護や援助が必要になります。ですから、ノウハウを一家に一体だけ人間のサポートするために無料で置いておくのが、私の考えた理想なのです。それは、何十年。何百年と人間をサポートすることができる。近未来の理想。それが私がスリー・C・バックアップを可決した意味なのです」
晴美さんは、やっぱり人間だった。
「そう……なんですね……よかった…………。それと……僕も人間になったようだ…………」
晴美さんはそこで、ニッコリと微笑んだ。
僕には、晴美さんの魅力的な笑顔の秘密がチャーミングなホクロにあることを知った。
11月の半ば頃。
日本という歯車が回り出した。
僕はその中心にいるのだろうか?
それとも、外側にいるのだろうか?
ここは、僕の家。
云話事帝都マンションの34階だ。
晴美さんの暗殺計画を阻止できるのか、解らないが、今から丁度一週間後がその日だった。
そこで、河守。九尾の狐。原田。夜鶴と晴美さんが集まっていた。後、犬。
「まずは、晴美さんの暗殺の阻止と、エレクトリック・ダンスの阻止ね」
九尾の狐はキッチンから砂糖を大量に入れたコーヒーを持ってきていた。夜鶴や河守は各々好きな飲み物をテーブルで飲んでいる。
犬はテーブルの下で、大きな肉にありつきながらマルカの足元で臭いを嗅いで、しきりに首を傾げていた。
「アンジェたちが居ない今。俺たちだけで何とかしないと……」
原田は買い換えたお洒落な度なしレンズのメガネを掛けて、紅茶を飲んでいた。少し震えが伝わる声色だ。何故ならアンジェたちの修理は容易ではないのだ。
「いくら私でも、暗殺の情報は盗めなかも知れないわね……結局、私たちハッカーは情報を盗めないと何もできない……頼りないわね……」
九尾の狐は俯くと溜息を吐いた。
「俺は晴美さんに取り敢えずは、くっ付いているよ」
夜鶴は緊張した表情を崩さなかった。
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