人の持てる力

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「問題……。 C区が何をしてくるか? 毒殺や銃撃や、それともロケットランチャーか!?」  河守が不安を払拭しそうな声を、オレンジジュースを持ちながら声を張り出した。 「うーん……。毒殺が無理なら銃撃……それも無理ならロケットランチャーでは?」  僕は考えた。  河守が僕の顔を覗いて、ニッと笑った。  僕は何故かドギマギした。 「そう、その通りよ。敵は十重二十重と狙ってくるわね。何故ならあちらも未来の日本のために動いているのよ」  河守は人差し指を僕たちの前に挙げ、 「みんなで協力しないと防げない!! アンジェたちがいればなおいいのに……。さすがにロケットランチャーはどうしようもないわ」  河守はニッと笑って続けた。 「でも、最悪。こっちには藤元さんがいるわ。例え全員死んでも生き返ることができる」  みんなの緊張が少しだけ綻んだ。 「確かに……そうだよ……そうそう」  一番緊張していた原田が気楽な口調になった。 「あ、でも。エレクトリック・ダンスはどうするんだ?」  原田の一言で、僕は日本の将来は晴美さんを守るだけでいいのだが、それだけではないことに気が付いた。  確かに、晴美さんを助けても、何かの策でエレクトリック・ダンスが発足すれば、僕たちの負けだ。  そういえば、向こうには白いスーツで20代くらいの政治家の男がいたのだ。敵が選挙戦を挙げるとまずいかもしれない。 「そうですね……」  晴美さんが珍しく歯切れの悪い言い方をした。  けれど、すぐに僕の方に首を向けた。 「あ、テレビ点けてください。多分、云話事町TVの時間です」  晴美さんが腕時計を見て、キッチンのパノラマテレビを僕に点けさした。 「こんばんはッス! 云話事町TVの時間ッス!」  美人のアナウンサーはピンクのマイクを握っている。  背景はB区の薄暗いビルディングが聳えている。 「今は藤元さんはあの後、空へ飛んで行って今日はお休みッス」  美人のアナウンサーは一人だけで話し出した。  周囲の通行人もこちらをちらほらと見ていた。 「これから、日本は大きな転換機を迎えます。何故なら日本全土にスリー・C・バックアップ。C区の全面的技術提供案が可決され、その発足が一週間後です。一体どうなるんですかね……藤元さん?」  美人のアナウンサーは隣にピンクのマイクを向けた。  しかし、そこには空気のみ。
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