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「あ……いないッスね。空に飛んでってしまったッスね……」
残念そうな美人のアナウンサーは、仕方なくピンクのマイクを握り。
「番組の情報では、今は5千万人の老人の介護をアンドロイドのノウハウがやるってことだけが伝わってきています。現奈々川首相のことだから、きっと、いい方向に向かう政策を実施するはずです。きっと……。確かに今の時代は老人が5千万人もいて人々の老後のことを考えると、どうしても暗くなります。労働力も甚だしく落ち込んで、未来は暗いように見える。だから、仕方がないのですね。後は、どれだけ人間を尊重することが出来るかです。お年寄りも命ある人間ッスからね。私は現奈々川首相ならきっと大丈夫だとは思います……きっと、人間的な政策を発足しますよ!!」
美人のアナウンサーは微笑んだ。
周囲の通行人もいつの間にか、美人のアナウンサーの方を見つめていた。
「きっと、日本の将来は大丈夫。それでは、今日の運勢コーナーと天気予報です……って、藤元がいないッス!」
番組はそこで終わった。
「藤元さんは、必ずやってきます。エレクトリック・ダンスを阻止です」
晴美さんが力強く拳を振るう。
晴美さんも3年前からあまり変わらない。
「ああ……」
夜鶴はそんな晴美さんをニッコリと見つめた。
「そうね。でも、現奈々川首相の命も守らないと、人の命は無駄にしてはダメよ……」
河守がニッと笑った。
僕は何故か赤面したようだ。
河守の顔が何故かまともに見れなかった。
「雷蔵さん……。どこかで話さない。私たちを生き返らしてくれたんでしょ……ちゃんとしたお礼もしたいし……」
「ああ……」
僕は河守を自分のバーへと連れるために、私用エレベーターへ案内した。
箱の中でもやっぱり河守の顔がまともに見れない。
そんな僕の顔を河守が覗いて、ニッと笑った。
「だいぶ人間らしくなってきたわね……」
そう言うと、河守は悪戯っ子のように笑い出した。
僕は急に顔を隠したくなった。
きっと、赤面しているだろう。その顔を必死に見られまいとしていた。
ドギマギしていると、エレベーターは51階へと着いた。
バーに着く。
左側に種々雑多な最高級の酒が陳列している飾り棚のあるカウンター席。正面から右側にはお洒落なテーブルが幾つもある。窓の外には光り輝く云話事レインボーブリッジが聳えていた。
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