両思い

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 こんな素敵な彼女の言動は僕に理性どころか何もかもを奪い去った。 「ねえ……日本の危機を救ったら、結婚を前提にしてお付き合いしましょうよ。雷蔵さんお金持ちだし好きよ……」  僕は一度も飲んでいないグラスをテーブルに置いた。  勇気を振り絞る。 「ああ……。僕の寝室のカギはいつも開いているんだ。いつでも入れる」 「じゃあ、一緒に行きましょう」  僕たちは寝室へと向かった。  朝。  9時に起床。  河守と一緒に寝室のバスルームで一汗流すと、みんな昨日のうちに帰ったようた。  こんなにすがすがしい朝は生まれて初めてだった。  窓からの太陽の日差し。  ビル風の音。  部屋のカーペットの香り。  コーヒーの香り。  サンドイッチの味。  全てが……素晴らしい。  トレーニングジムで一汗掻いたり、駐車場で小一時間も車の種類を説明したり、大きなキッチンで一緒に大きなサンドイッチを作ったり。ランボルギーニで広い駐車場内を走り回ったり。  河守と僕の家で楽しく遊んでいたら、いつの間にか夜になっていた。  僕は生まれたままの気持ちで、河守を黄色のランボルギーニに乗せた。様々なネオンが照らす道をドライブした。 「ねえ、私は仕事でしかB区に来ないの……色々と紹介してくれる?」  助手席の河守が微笑んだ。 「ああ」  僕は一番のお気に入りの云話事シーサイドホテルに向かった。  そこは、よく女の子友達と遊んだ場所だった。が、今となっては遠い過去の出来事だ。  ホテルのラウンジは人々で賑わっていた。  軽めのアルコールを提供していて、夕食だけでも43万円もする。  僕はランボルギーニの低い咆哮を聞くと、快く走った。  夜空には真っ白な三日月が浮き出ていて、風は身を切る寒さだった。走行中は車内でバレンシアオレンジとマスカットの香料が香るエアコンを点けた。  緑色の蛍光塗料のついた若者たちが闊歩する歩道には、一足先にクリスマスを伝えるクリスマスキャロルが流れていた。サンタが一人。こちらに手を振った。  云話事シーサイドホテルに着くと、さっそくデラックスの夕食を頼んだ。
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