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金が相当にかかって、国の人間的将来性はあるのだが、国民はそうは思はないかも知れない。
「うーん。確かに今の選挙活動的にはどうかと思うわ。あの宣言では……?」
九尾の狐がコーヒーに口をつけた。
「この選挙で勝たないと、意味はないね……」
原田はお洒落な度なしレンズをハンカチで拭いていた。
「でも、奈々川首相の実力に頼るしかないわ」
河守はニッコリと笑った。
「確かに……」
僕たちに出来ることはここまでか……。
次の日。
云話事放送Bで記者会見の場で晴美さんが退陣していた。
「晴美さん……」
僕は34階のキッチンで朝食を河守と取っている時に、テレビを不安げに観て呟いた。
そして、国民は興田 道助も選んでいたのだ。
選挙では選挙存続期間というのがある。選挙で勝ち続ければ首相になっていられる。任期は廃止されていた。
記者会見の場で、晴美さんの姿が見えなかった。そして、興田 道助がこう宣言した。
「日本の将来性の勝利ですよ。今から新しい政治が行われる……私が首相になったのだから、日本は発展していきます」
新聞記者が質問を浴びせた。
「前奈々川首相(晴美さん)は退陣しましたが、どうしたと思いますか?」
興田 道助がふざけて軽口を言った。
「きっと、前奈々川首相はトイレにいって、時間が掛かったので出てこなかったのですね」
興田首相のセクハラ発言に新聞記者たちから笑い声が聞こえた。
僕は頭にきてテレビを消した。
「きっと、何か起きたわ!」
河守が突発的に電話で首相官邸の夜鶴に掛けた。
原田が上の階からエレベーターでやってきた。
「やっぱりここか。寝室に二人でいたら、どうしようかと思ったよ。テレビで奈々川首相がいなかったから、何か起きたと思ったんだ」
原田は緊迫した顔をして、僕の真向いの席に落ち着いて座った。
河守のコールで、夜鶴が出たようだ。
「え……。トイレから出てこなかった?」
河守が辟易したが、次の言葉を夜鶴が言ったようで、すぐに緊迫した。
「毒?」
僕は見誤った。
毒のことを知っておきながら、警戒することをしなかった。
敵は用意周到だったのだろう。
「食材に微量に混在していた……? それで、晴美さんは?」
河守がすぐさま受話器越しに問うと、
「一命は取り留めた……よかった……」
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