選挙

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 僕は山下が藤元に頼まれて、渡した手のひらサイズのプラスチックのことを思い出した。 「それで、今、病院?」  僕はカレンダーを見ると、C区に頼んだアンジェたちの修理が終わった日が明日だった。 「雷蔵さん。病院へ行きましょう」  河守が今まで見たことがない不安な表情をしている。  とても、心配しているのだろう。 「いや、明日にしよう。敵が待っている……」  僕は不敵に笑った。  晴れ渡った日だった。白い雲一つない空を、黄色のランボルギーニで河守と九尾の狐と銀色のフェラーリに乗った原田を連れて、C区へ来た。大手の会社を見て、僕は国を左右するほどの戦争を仕掛けようと不敵に笑っていた。  これで、僕たちは全員揃った。  アンジェたちは大喜びの原田の銀色のフェラーリに乗った。  病院へ着くと、病室で晴美さんと夜鶴。島田や田場、津田沼に遠山たちA区の人たちがいた。後、犬。 「皆さん……すみません。私の力が至らないばかりに……」  晴美さんは病院のベットで上半身だけ起きて泣いていた。 「無理もない。毒は僕たちも警戒していたが、見落としていたんだ」  僕は河守の言ってくれた作戦を見落としていた。  ここまで、姑息な手を使うとは思ってもいなかった。 「いいえ……今の時代の選挙には、みんなの力だけではなく。私の力も必要なのです。何とか勝たなければならないですね……」 「そんなに~~、一人で抱えなくても~~いいじゃないですか~~」  ヨハが気を使った。 「そうです。晴美様は何も力を失ってはいません」  マルカ 「雷蔵様。C区を倒しましょう」  アンジェ。 「アンジェさんたち……。ありがとうございます。けれど、争わない道を見つけてください。相手も人間です」  晴美さんの言葉は病院に設置されたテレビの音声で少し遮られた。  一人の男性のアナウンサーが、空気が濡れているかのようなしっとりとした晴れの中、牧歌的な風景のA区を背景にして話していた。
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