11人が本棚に入れています
本棚に追加
僕は山下が藤元に頼まれて、渡した手のひらサイズのプラスチックのことを思い出した。
「それで、今、病院?」
僕はカレンダーを見ると、C区に頼んだアンジェたちの修理が終わった日が明日だった。
「雷蔵さん。病院へ行きましょう」
河守が今まで見たことがない不安な表情をしている。
とても、心配しているのだろう。
「いや、明日にしよう。敵が待っている……」
僕は不敵に笑った。
晴れ渡った日だった。白い雲一つない空を、黄色のランボルギーニで河守と九尾の狐と銀色のフェラーリに乗った原田を連れて、C区へ来た。大手の会社を見て、僕は国を左右するほどの戦争を仕掛けようと不敵に笑っていた。
これで、僕たちは全員揃った。
アンジェたちは大喜びの原田の銀色のフェラーリに乗った。
病院へ着くと、病室で晴美さんと夜鶴。島田や田場、津田沼に遠山たちA区の人たちがいた。後、犬。
「皆さん……すみません。私の力が至らないばかりに……」
晴美さんは病院のベットで上半身だけ起きて泣いていた。
「無理もない。毒は僕たちも警戒していたが、見落としていたんだ」
僕は河守の言ってくれた作戦を見落としていた。
ここまで、姑息な手を使うとは思ってもいなかった。
「いいえ……今の時代の選挙には、みんなの力だけではなく。私の力も必要なのです。何とか勝たなければならないですね……」
「そんなに~~、一人で抱えなくても~~いいじゃないですか~~」
ヨハが気を使った。
「そうです。晴美様は何も力を失ってはいません」
マルカ
「雷蔵様。C区を倒しましょう」
アンジェ。
「アンジェさんたち……。ありがとうございます。けれど、争わない道を見つけてください。相手も人間です」
晴美さんの言葉は病院に設置されたテレビの音声で少し遮られた。
一人の男性のアナウンサーが、空気が濡れているかのようなしっとりとした晴れの中、牧歌的な風景のA区を背景にして話していた。
最初のコメントを投稿しよう!