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晴美さんはそう言い終わると、力尽きてベットに倒れる。それを夜鶴と島田が受け止めた。
美人のアナウンサーは涙を拭いて、力強く頷くと。
「どうです!! 私の思惑通りに晴美さんの政策が絶対に一番になりますよ!! これから、私たちも番組も含めて立ち上がります!!」
藤元が晴美さんの容体を看ていた。
「先生!!」
藤元が医者を呼んだ。
「だ……大丈夫……です……」
晴美さんは起き上がろうとするが、夜鶴が制した。
「晴美さん!! 寝ているんだ!! 毒がまだ抜けていない!!」
「大丈夫です……」
晴美さんが夜鶴を押しのけて起き上がり、
「3週間後に私たちは、もう一度、選挙戦を興田首相に挑みます。それはレースの試合でです。こちらが勝手に決めた試合なので、ルールは興田首相に託します」
晴美さんはそう言うと、ベットで横になって、再び目を瞑った。
「今度は、レースですね。ハイ!! 了解ッス!! また、日本全土を左右する場面に出くわしたッス!!」
藤元は喜んで話している美人のアナウンサーの隣で、緊迫した顔をしていた。晴美さんの体内の毒は、致死性の毒だったのだ。
次の日。
僕はA区の青緑荘の前でスポーツカーを並べていた。
ランボルギーニ・エストーケ。ランボルギーニ・ポルトフィーノ。ディアブロ。ガヤドル。ウラカン。ソニア。ラプター。アヴェンタドール。スカイラインGTR.スカイラインクロスオーバー。
それぞれ僕のお気に入りの車だった。
この車たちでレースをする。
原田と僕がそれぞれの車の説明をすると、A区の人々と夜鶴たちが、島田。広瀬。淀川。田場。津田沼。山下。夜鶴。流谷。遠山が真剣に耳を傾ける。
「ウラカンはエンジンがV型10気筒DOHC。排気量が5.2L。アヴェンタドールはV型12気筒DOHCのエンジン。排気量が6.5L」
僕と原田は説明をしていた。
十字路が多々ある小道に所狭しと置いたスポーツカーの間を、小走りにきた女性バイトが遠山に何かを渡した。
「お守りです」
女性バイトが頭を下げる。
「……」
遠山はそれを受け取ると無言で力強く頷いた。
僕の庭はB区の云話事イーストヒルズにある。大型レーシング場だ。
そこで、彼らのドライビングテクニックを磨いた。
後、三週間しかないのだ。
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