老人の将来

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「みなさん。こんばんはー。ここはC区モータースポーツ・レーシング場です。レポーターは私、上から読んでも下から読んでも竹友 友竹と様々なレース場を走ったこことのある斉藤 一さんです」  夜景を彩るスポットライトを受けた。竹友は40代の丸顔で、短髪は銀色に染めていた。隣の斉藤も髪は赤で染め上げて、40代のおじさんだ。にっこりと笑った笑顔が良く似合う。  東京ドームほどの広さのレーシング場は、大歓声を受けていた。 「いやー。大歓声ですねー」  斉藤は広々としたコースを見て、感嘆としていた。 「矢多辺 雷蔵氏は日本屈指のお金持ちだからいいですよねー……羨ましいですねー……」  斉藤の声に竹友は微笑んで、 「テレビ局なども多数。このレース場に集まってきたようですね。当たり前ですが、なんたって日本の将来がかかったレースですからね。それに3年前の野球以上の盛り上がりですから」  竹友は続けた。 「それにしても、奈々川首相のAチームの相手の興田 道助のCチームは無法レースを提示してきましたね。大丈夫でしょうか?」 「ええ、秘策どころかなんでもありですね。Aチームには文字通りA区の人々が多く見受けられますし、CチームにはC区とB区の人々が熱狂していますね。私も参加したい気分ですよ」 「皆さん。気を付けてください。命の危険を感じたら、すぐにリタイアしてください」  応援席の晴美さんは無事だった。綺麗な横顔だがどこか険しい。  僕は晴美さんの隣に原田といた。 「大丈夫っぜ――!! だって、藤元がいるんだぜ!!」  島田が吠えた。 「おーっし、相手を殺してもいいんだな!!」  田場も物騒に吠えた。 「俺……いつも身近に必ずいるから……」  夜鶴が晴美さんの耳元に囁いた。  僕は河守に笑顔で手を振った。 「私……頑張ります……」  遠山は声が小さくて、誰も聞こえなかった。 「雷蔵さん。敵は強気なようで、俺も精一杯参加しているけど、また藤元さんの御厄介になりそうで……」  原田は早くも弱気になり出した。 「私もここから応援するわ。無理しないで頑張って」  九尾の狐が河守の肩に手を置いている。 「無法レース……雷蔵さん。死なないでね」  河守が心配した顔を僕に向けるが、僕の顔を見てニッと笑う。 「大丈夫さ……。死んでも大丈夫だと信じよう」  僕は微笑んだ。
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