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応援席の晴美さんは心底、心配な顔をしていた。
ここで、負けるとエレクトリック・ダンスが日本の将来になってしてしまう。けれども、みんなの命が大切なのは当たり前なのだ。
「雷蔵様~」
ヨハもスカイラインに乗ったノウハウたちのドライビングテクニックに、必死に対抗しているAチームを険しい表情で見ていた。
「ええ……私も信じています……」
晴美さんは頷いた。
晴美さんからかなり離れた場所の応援席では、興田 道助は微笑んでいた。ノウハウにアップデートしたプログラムはロケット燃料を積んだドラックレースから高度なテクニックを必要とするサーキットからのデータを開発したものだった。
人間ではどうしても勝てないのだ。
角竹は神妙な顔をしていた。
国が衰退するよりは、当然発展した方がこれから余生を送る身としては一番いいが。アンドロイドのノウハウに介護をされるのは、確かに孤独死と何ら変わらないのでは?
しかし、お年寄りは最後の最後は隠居しなければならない身ではないだろうか?
長年、人として生きていたのだし、老後の愛情の大切さは解るが。日本の将来を考えることはそれよりも重要では?何かを後世に残したいのならば、その方法にしがみつきたい。
角竹はこっくりと頷いた。
「興田君」
興田 守の方に首を向けた。
「絶対に勝つのだ。例えどんな手を使っても、相手を殺してでも……」
「承知しました……」
コーナーの出口は、当然ストレートの入り口である。いかに早くスピードを全開にするのかが大切だ。
僕はランボルギーニ・エストーケのアクセルを踏みきった。
未だ前方を走る相手のノウハウのカナソニックスカイラインもスピードを上げる。時速360キロの世界に瞬く間に突入した。
「あっーと、山下選手。淀川選手がスピン!! 周囲のノウハウが乗った種々雑多な自動車も巻き込んだ!! 」
竹友が応援席から立ち上がった。
「相手はノウハウが乗った全長12メートルのトレーラー三台ですね。まさか、Aチーム
の後ろを潰すために用意したとしか思えません」
斉藤は身震いした。
「あー……これはまずいですね、死人がでなければいいんですが……」
竹友は気落ちした暗い表情をした。
「藤元――!! 出番だーー!! 行ってこーい!!」
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