11人が本棚に入れています
本棚に追加
マルカがマシンピストルを応援席にいるノウハウの一体に向かって撃とうとしたら、
「待って!!」
九尾の狐が小型の端末を目にも止まらない速度で、打った。
遥か遠くの応援席のノウハウ数体が、武器を投げ合いお辞儀をしたり、故障したかのようなダンスを踊り出した。
真っ青になっていた観客はこれもショーの一部と勘違いして、大歓声を送った。
「妨害用プログラムをノウハウたちにインストールしたわ。世界最強のノウハウ用妨害プログラム。キマイラの車輪よ」
九尾の狐はにこやかにほほ笑んだ。
「……」
興田は唖然とした。
ダンスを踊っているノウハウには、高度の暗殺プログラムがインストールされていて、絶対にハッキングが出来ないはずなのだ。
「父さん……。仕方ないから、レースで勝つしかないかも知れないぜ」
道助も唖然として、無表情の顔からそんな言葉が力なく口から漏れ出した。
角竹は皮肉を言いたい気持ちを極力抑えた。
「藤元!! 前奈々川首相のところへ行け!! 番組は私に任せろ!! 絶対いいところだけを中継してやる!!」
美人のアナウンサーは護衛に藤元を向かわせる。
「ハイっす!! 頑張ってね!!」
藤元は空を飛んで、晴美さんがいる応援席の一角に向かった。
3週目。
原田と淀川と山下と津田沼はまだ、2週目だ。
コントロールラインまで、相手のノウハウの妨害に四苦八苦していた。
全長12メートルのトレーラーは、かなり改造されていて、時速300キロはでる。10tトラックもそう。原田はあくせくしていた。
死ぬ思いで体当たりをするか、死ぬ思いで間を走り抜けるか。スリーワイドの挟まれた状態で考えた。
「藤元さん。すまん。また御厄介になります!!」
原田はアクセルを踏み切った。
時速320キロで象の間を走り抜ける。
相手は象だ。
こちら側に近寄ってきた。
原田は目を瞑ったが、いきなり落雷が落ちた。
落雷は両脇の全長12メートルのトレーラー二台と10tトラックに直撃し、燃え上がると横転していった。
空には藤元が手を振っていた。
淀川と山下もアクセルを踏み切ってストレートを走り出した。
広瀬と流谷と遠山は3週目だ。
最初のコメントを投稿しよう!