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フェラーリ F12ベルリネッタとリーボックスカイラインのノウハウたちと戦っていた。コーナーの手前、遠山は上級ドリフトをし、流谷と広瀬は素早くカーブをしイン側を走った。
ストレートで三人はアクセルを踏み切った。
だが、フェラーリ F12ベルリネッタはその速さで遠山たちを追い抜いてしまった。
「あ!! 凄いスピードですね!! ノウハウの乗ったフェラーリ F12ベルリネッタ!」
竹友は愕然とした。
「ええ。……時速380キロですから……」
斉藤が真っ青になった。
「時速380キロですか!?」
竹友も青い顔をする。
「C区の改造技術とノウハウのプログラムは侮れませんね」
斉藤の目線はフェラーリ F12ベルリネッタに釘づけになった。
僕は風だけを感じているだけではなかった。
多くのプレッシャーも感じていた。
先頭を走るにはそのようなものも背負わなければならない。
後続のノウハウの乗ったスカイラインが二台。
このままの調子で、走り抜けられるだろうか?
「おーっと、雷蔵選手の後からフェラーリF12ベルリネッタとトミカスカイラインターボが迫ってきましたね」
竹友が驚く。
「ええ、時速390キロですね」
斉藤はそう言うと、ストップウオッチを見た。速さ・時間・距離を頭で計算した。
「もうそろそろです……」
斉藤は呟いた。
僕の前を二台が追い抜いた。
フェラーリ F12ベルリネッタとトミカスカイラインターボだ。ランボルギーニ・エストーケの性能を一時上回ったのだ。
今はストレートで時速380キロを振り絞っているのだが……。
僕はアクセルを踏みきり、テール・トゥ・ノーズを仕掛ける。前方の二番目のトミカスカイラインターボの後ろにピッタリとくっつくことだ。フェラーリ F12ベルリネッタは一番前を走っている。
テール・トゥ・ノーズでは相手にプレッシャーを与えて、ミスを誘発する方法だ。インに車を(フェイントだが)振る仕草をし、相手がブロックラインをとった後アウトをそのまま走る。
ノウハウがブロックラインをとった。フェイントが効いた。
僕は時速390キロでアウトを走った。
「雷蔵さん……。頑張ってください」
晴美さんは、先が見えない悪戦苦闘の最中、不安な心を落ち着かせた。
このレースは3年前の野球よりも難しい。
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