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「おっーーと!! 雷蔵選手!! ノウハウのフェラーリ F12ベルリネッタを追い抜いた!!」
竹友は叫んだ。
「これは驚きです!! ノウハウと車の性能を上回った瞬間です!!」
斉藤は興奮して、立ち上がった。
「性能を上回ったんですか!! 人間が!!」
竹友はマイクをあさっての方に向けていることに気が付かなかった。
「ええ……。奇跡です……。後は雷蔵氏がブロックをしたまま。ゴールへ行ければいいのです。けれども、先に5台の車がゴールしなければいけないので……。勝負はまだ決まりませんね」
斉藤は無意識のうちに拍手していたが、顔が曇り出した。
「雷蔵さん……」
晴美さんは真剣な眼差しをして、応援席の一角で泣いていた。
「矢多辺……」
夜鶴は晴美さんの肩に手を置いて、このレースを観戦していたが、それは晴美さんのボディガードをしてもいた。
「雷蔵さん……凄い……」
河守も九尾の狐とアンジェたちと観戦をしているが、うまく言葉が出てこないかった。
「うーん……。まだまだ、これからなのがこの試合の怖いところだね……」
藤元は神社なんかでお祓いに使う棒を振り独り言ちた。
僕は6週目へと突入した。
フェラーリ F12ベルリネッタはブロックしているから、なんなく僕はレーシング場を走り回れる。
もうすぐゴールだ。
前方にコントロールラインが見えてきた。
「雷蔵選手!! ゴール!!」
竹友がランボルギーニ・エストーケを見送った。ここはゴール地点の近くにある。
「でも、フェラーリ F12ベルリネッタもゴールですから……」
斉藤はふと我に返った。
「そういえば……日本の将来がかかっているんですね……この試合は……」
竹友が斉藤を見つめ、
「ええ。確か、興田 道助が勝つか奈々川 晴美が勝つか。当然、日本国民はレースに勝ったチームに投票しますし……斉藤さん。今、気が付いたのですが……。興田 道助のエレクトリック・ダンスという政策は機械のノウハウが5千万人の老人を介護するのですよね。そして、A区が全面的に協力してくれるという。…………」
竹友がマイクを握り、
「一方。奈々川 晴美の政策ではノウハウを一家に一台。無料で提供し、私たちの介護や援助のサポート的立場を保障する。当然、国がノウハウのお金などは負担するという」
斉藤はこっくりと頷いて、
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