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相手のペンズオイルニスモ GT-Rも高度なドライビングテクニックを駆使して、遠山の車をブロックしてきた。
後続の遠山には冷静さは今は皆無だった。
「死ねーーーーー!!」
遠山はアクセルを振り絞り、ペンズオイルニスモ GT-Rに後続から派手な体当たりをした。
「これは、凄いっス!! 遠山選手!! 相手をクラッシュでコースアウトにした!!」
美人のアナウンサーは驚きの声を発した。
「うーん。確かに凄いんだけど? なんか変? ま、いっか……。頑張って遠山さん!!」
藤元は神社なんかでお祓いに使う棒を振り、空を飛んで死んでしまった流谷と津田沼のところへと向かった。
「遠山さん……。頑張って」
晴美さんは気を引き締めて、遠山のガヤドルを見つめた。
「どうなってる! なんだ! あの走りは?!」
興田は満川と作業班に向かって、叫んだ。
「解りません!! でも、このままだと負けます!!」
一番年配の作業服の男は、部下の元へ向かって、ノウハウのプログラムを強化するための手順を述べだした。
「興田くん!! 何が起きているんだ!!」
角竹も真っ青な道助の手を赤くなるほど両手で握って、興田に向かって叫んだ。
「解りません!! でも、なんとかします!!」
「相手を殺すんだ!!」
道助は満川に向かって、叫ぶ。
周囲の離れた観客たちの耳にその言葉が入り、真っ青になった顔をした者たちが現れた。
遠山は6周目に差し掛かった。
相手のペンズオイルニスモ GT-Rも同じく6周目だ。
遠山がコーナーに派手に突入した。
ペンズオイルニスモ GT-Rもスローイン・ファストアウト。
「ヒール・アンド・トゥー!! ヒール・アンド・トゥー!! フルスロットル!! 上級ドリフトもこなすし!! 敵は蹴散らし……便所――――!! 便所――――!!」
遠山は便意を紛らわせるために叫んでいた。
コントロールラインはもうすぐだ。
「あっーと、遠山選手ゴーーール!!」
竹友はマイクを握りしめ、絶叫した。
「Aチームの勝ちです!! 再び奈々川首相の勝利でーーーす!!」
応援席の観客たちはA区。B区。そして、C区の歓声が瞬く間に満たしていった。
あの試合から数日が経った。
日本国民は再び晴美さんを首相に選んだ。
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