誰にも言えない私の食事

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「瑠璃ちゃん、今度飲みに行こうぜ、なっ」  太陽は私を射殺さんと爛々と輝いている昼時。  耳にいくつものピアスを下げている金髪の男は見た目と同様、軽い口調で話し掛けてきた。  桜吹雪が舞うこの季節、美しい景色を肴にして、お酒を浴びるように飲む輩は少なくない。そして、酔った勢いでナンパという下劣な行為を行うものも然り。   「はいっ。時間が合えばお願いしますねっ」    私は、名前も知らない、ただ同じサークルに所属しているだけの先輩からの誘いを遠回しに断った。  つもりだった。  「大丈夫、大丈夫! 俺が瑠璃ちゃんの時間に合わせっから。ほら、俺先輩じゃん。遠慮とかいいからな。むしろ務めみたいな?」  新しい後輩に手を出すのが務めですか。そんなもん止めちまえ。  
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