誰にも言えない私の食事

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「那奈、出てる。本音出てるから」 「いーのよ。回りに瑠璃しかいないし。つか、アンタもう少しでヤッちゃうところだったでしょ」 「あーうん。ありがと、助かった」  笑顔を張り付けたまま、暴言を吐きまくる友人に若干恐怖を覚えつつも、感謝の念を抱く。  井東 那奈。私と同じ人種であり私の強化版でもある。現在行われている「テニスサークル同好会新入生歓迎会」でも偽りの鎧を纏い、先輩方のハートを射止めていた。その行動から女性からは良いイメージは持たれていないものの、適切な距離を保ち、全てそつなくこなしている強者だ。   「ん。気を付けなね、あの糞虫、アンタのこと狙ってるぽいし」 「大丈夫、やんわりと全部断るから」 「それが通じたらいいんだけどね」 「あはは……」 「んじゃ、媚売ってくるまた明日。特に今夜は気を付けな」 「うん。わかった。また明日」  那奈は私に念を押した後、はみ出さんばかりに盛り上がった胸の双丘を動かしながら、先輩達のもとへ走っていった。  彼女は私の身を案じて、色々と忠告をしてくれる。しかし、今回の忠告は私ではなく、あのチャラ男の身を助けることになるだろう。私は出来るだけ「あんなこと」はしたくない。折角新たな門出だ。彼女のようにそつなくこなしていきたい。だが、「あの衝動」きてしまったら私には抗うことは出来ないだろう。  一抹の不安を胸に秘め、那奈の後を追った。 * * *  
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