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「もういいの?」
「とりあえず、一段落ついた。ご飯食べてからまたやるけど、その前に買い物行ってくるよ」
「ありがとう。これ、お願いね」
「ん、了解」
丸を付けたチラシを彼に渡すと、彼は私がチェックした丸印を見ながら「夕飯はオムライス?」なんてさりげなくリクエストを混ぜてくる。
これだけ言えば、自分で買い物に出かけた方がいいと言われるかもしれないし、私も多分過去に言ったと思ったが、結果として彼が買い物全般を引き受けてくれている。
「お前、買い物に行きたいとか思ってるだろ」
「そ、そんな事ないよ?」
ふと思っていた事が顔に出ていたのか、彼が訪ねながらも渋い顔をしている。
「気にしなくていいって。お前足が悪いんだし、俺も1日中パソコンとにらめっこするのも疲れるから、いい気分転換になるし」
「ごめんねー……」
「謝るなって。それよりも、俺が出かけてる間、いつもの忘れないように」
「わかってるって。何度も言わなくても」
「わかってるなら復唱する。ななは何をすればいいんだっけ?」
子供を諭すような口調で彼が覗き込むように私を見ながら抱きしめてくる。
その度背中にじわりと何故か汗をかくが、彼が後ろにいてこうやって抱きしめられると起こる自然現象のようなものだと、最近は気になっても気にしないようにしている。
「はーい……。まずは、『チャイムが出ても絶対でない事』」
「うん。最近変な奴とか勧誘とか多いしな。お前の場合、絶対ハンコ押しそうだし。次」
「また子供扱いする……『パソコン部屋のパソコンはいじらない』」
「そうそう。まぁやらないとは思ってるけど、変にいじられてデータ飛んだりとか、株取引の間違ったの押されちゃうと致命的だから」
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