四月一日 月曜日

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 仙太係長へのあいさつを終えると、山保は次に、仙太係長のすぐ左隣の席に移動していく。 「神月(こうづき)さん、今いいですか?」 「はい、もちろんです」  華奢で儚げな男が椅子を回してすくっと立ち、仙太係長とは対照的にきれいな微笑みを浮かべる。「神月と申します。どうぞよろしくお願い致します」  丁寧にお辞儀を繰り出す神月に、理央も慌てて頭を下げる。 「神月さんは主任だから。俺より上ね。仕事もメチャできる」  神月があまりに低姿勢なので、補足のように山保が付け加える。当の本人は、「いえ、そんな、全然……山保さんこそ」と、恐縮そうに俯いてしまった。焦げ茶に色づいた髪はたぶん、地毛なのだろう。さらさらと顔の横から垂れ、表情を隠してしまう。  制服姿の美少年を、中身はそのままスーツに着せ替えると、神月のようなオトコ――というには線が細く女性的な人だが――になりそうだ。
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