四月一日 月曜日

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 理央は三輪室長に送られて四階の第二研修室へ戻った。集合時間前ではあるが、理央が一番遅く、他の新入社員たちはもう着席していた。席は配属課ごとに固まっているため、彼らはそれぞれ同じ課に配属となった者同士、楽しげに会話をしている。  胸の底がひんやりとする。一番左の一番前、理央の席だけがぽつんと空いている。  自分の席に向かいながらちらりと入り口の方を見ると、開いたままの扉の向こうにまだ三輪室長が立っていた。三輪室長はふふっと肩を竦めると、小さく投げキッスをして踵を返した。
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