四月一日 月曜日

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   ◆四月一日 月曜日◆  部屋は、小学校の教室くらいの大きさだった。正面の大窓の前には室長席と室長代理席がそれぞれ独立している。手前には、六人がけの島が四つ存在する。壁にはずらりとキャビネットが並び、コピー機が部屋の左右に一台ずつ設置されている。社員はワイシャツにネクタイ姿の男性ばかりで、人数は十人いるかいないかだ。  人事担当の男は島の間を軽い足取りで進んでいき、役職者用の席のうち、より高位である奥側の席の前で止まった。そこに座る人物はちょうど電話中だったのだが、人事担当の男に気づくと、表情と手の動きで『ちょっと待ってて』と合図をした。 「こちらが三輪(みわ)室長ね」  男は指先を揃えて電話中の人物を指し、小声で理央に言った。理央はほとんど声を出さずに、はいと口を動かして頷く。  年齢は四十代前半というところ。がっしりした体型に反して、電話応対の口調には女性のようなしなやかさがある。デスクはファイルボックスや小物入れで整頓されていて、ノートパソコンの横には、スヌーピーのスタンド型メモ帳が置かれている。
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