四月一日 月曜日

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 間もなく受話器を置いて、三輪室長が立ち上がった。「ごめんね、お待たせしました」デスクを回り、理央たちの側へやってくる。  人事担当の男は両手を広げて話し出す。 「彼が新入社員の七海理央くんです」  三輪室長の目が理央に移るので、理央は深々と頭を下げる。耳の奥でどくんどくんと心音がする。 「そんな固くならなくていいよ。緊張してる?」  答えるべく顔を上げると、三輪室長の柔らかい笑顔が理央を迎えた。 「あ……はい、あの、かなり」 「まあそうだよね。ふふ。東京営業監査室長の三輪です。数字の〝三〟に、車輪の〝輪〟ね」 「はい」 「じゃあ早速みんなに紹介を……ハイッ、皆さん、ちょっと手を止めて注目してください」
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