四月一日 月曜日

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「山保です。どうも」  彼は理央の様子を窺うように首を傾げて笑った。細められたその目を見上げ、そこから放射線状にフェロモンらしきものが溢れていそうだと理央は思った。 「よろしくね?」 「はっ……はいっ、よろしくお願いします!」  さっきできなかったあいさつをここぞとばかり、吐き出すように声を張って、深く腰を折る。 「では、三輪室長。七海くんはまた四時半に、四階の第二研修室に集合ですので」 「了解。時間までには連れていきますね」 「お願いします。それでは、私はこれで」  人事担当の男は七海に「じゃ、頑張って」と言って去っていく。彼は研修室に戻り、今度は別の新入社員を配属課へ連れていくのだろう。
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