本編

2/10
前へ
/10ページ
次へ
 静かな廊下に一人分の足音が響く。  チ、ヨ、コ、レ、イ、ト。  パ、イ、ナ、ツ、プ、ル。  ずんずんと普段より大きな歩幅で進んでいく。  グ、リ、「なにやってるの」  声が聞こえてきたほうに顔を向けると、 「あ、遥先輩こんにちは」  そこには怪訝そうな顔をした遥先輩がいた。  先輩とは去年の体育祭の応援団で一緒で。  私の指導係、詳しくは私と私の友人と少年Aの指導係をしてくれたふたつ上の先輩である。  ちなみに少年Aと言うのは同じ組の「教室まで聞こえてきたけど、声」 「静かな所って、なんだか無性に大きな声を出したくなりませんか」 「ならない」 「…… じゃあ、ペンキ塗りたての所に指を「やらない」 「横断歩道の白線「しない」 「もうちょっと言わせてください」
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加