さよならのかわりに

本編

「春から東京で一人暮しですか？」

「うん。帰ったらまた荷造りしないと」

　そもそも、我慢するのは苦手だ。

　もし、私が好きだと告白したら彼はどんな顔をするんだろう。

「確か、片付けが苦手って言ってませんでした？」

「ああ、そうそう。だから憂鬱」

　妹みたいなかわいい後輩、から先輩の彼女になれたりするのだろうか。

「出発はいつなんですか？」

「五日後。でも、荷物は明後日には送らないといけないから大変でさ」

　その笑顔を独り占めすることが出来るようになるのだろうか。

「遥先輩」

「ん、どうした」

「最後にひとつだけ我儘、言ってもいいですか」