本編

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 もし好きだと言ってしまったら、彼の中で卒業という理由に託けて告白をした薄っぺらいその他大勢の女子と同じカテゴリーになってしまう気がして。  そんなつまらない存在になるくらいなら告白なんてしなくてもいいと  そう、思ったから。 「今、人生で一番幸せかもしれません」 「こんなことで人生のピーク迎えるの?」  割と、本気で言っているのに。  目の前の先輩はへらへらと笑っている。  罪な、ひと。 「ここのクレープ、食べてみたかったんです。先輩、よく来てたでしょ」 「まあね」  元彼女さんと、というフレーズを抜いても先輩は何も言わない。  そういうところが好き。  そういうところが好き、だった。
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