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その雲の切れ間から地上の告別式を見下ろしている宗太郎。なんとも不思議な表情で自分の式の様子を眺めている。
「オマエのわがままな決断で、あれだけの人数が悲しんでいるんだぞ。本当にこれで良かったのか?」
宗太郎の背後に天使が現れる。
「ああ、いいんだ。僕なんか、もうこれ以上あの世界にいないほうがいいんだ」
天使の声に振り向くでもなく、まるでそう言い聞かせるように地上を見下ろしたままで言う宗太郎。
「あの世界では、願い事は過去に求めちゃいけないんだ、きっと。
未来に向かっていれば、その願いが叶うチャンスもやって来る…… さ、行こうゼ。これ以上見てると、本当に悲しくなって来そうだ」
振り返って無理矢理な笑顔を作る宗太郎。そう言うと、空中にいる天使は右手に持っている杖を一振りする。
すると、今まで崖だった場所が元の草原に変わった。
どこまでも続く清らかな草原を、天使を1人引き連れた宗太郎が歩いて行く。
(第五章 未来を泳ぐ日 終)
(未来を泳ぐ日 完)
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