第四話 チャンス

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 二年に進級した四月。同じクラスに圭介が居て、聖志はとても嬉しかった。同じ進学コースだったため、確率は高かったけれど、それでも二クラスある進学コース。別れてしまう確率も二分の一あった。聖志は初めて「神様」という目に見えない存在に感謝した。  クラスが張り出された紙を二人で見上げ、圭介が聖志へ嬉しそうに笑いかけた。 「また一緒! ヨロシクね!」  圭介は笑顔で言った。二人で教室へ入り先生を待っていると、現れたのは見たことのない他校の制服を着た男だった。聖志と圭介は顔を見合わせた。 「誰あれ? 転校生?」 「みたいだね」  転校生は教室の前に立ちキョロキョロと目を動かして緊張している様子だった。時折、廊下を不安気に振り返る。先生を待ってんだろうな。普通一緒に来るんじゃね? 聖志がそう思いながら眺めていると、隣に座っていた圭介が立ち上がった。  え?  ひょろりと背の高い転校生の元へ躊躇なく近づく圭介。転校生も目を丸くしている。百七十ない圭介とは頭一個分くらいの差があった。女子も、男子も、興味津々な様子で見守っている。 「鈴木先生より先に来ちゃったの?」 「あ、いや……なんか、そこの、トイレ入っちゃって……」  転校生はしどろもどろに答えて、引き攣り笑いを返した。みんながクスクスと笑う。 「あー、よっぽど切羽詰ってたんだね。俺、日比野。名前は?」 「ま、まき、牧田。牧田、た、孝徳」 「ヨロシクね! マキタカ君」  ハキハキといつもよりも五割増しの音量で話し、クラス中に聞こえる声で圭介は呼びかけた。 「よ、よろしく……」  顔を赤くする転校生に圭介はニッコリと微笑み、右手を差し出した。
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