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何を言ったって。
九条敬は
根っからの紳士だからね。
僕の瞳を見つめると
「行こうか」
柔らかく微笑んでたった一言。
あとは安心させるように
グッと腰を抱く。
熱い身体。
押し付けられると息もできなくなるぐらい。
「うん」
返事をするのもやっとで――。
だから気づいていなかった。
僕らは
少なくとも僕は
「敬――」
ごく背後に立つ
誰かの存在に――。
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