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下界が豆粒ほどに見える
窓辺のソファー席に並んで腰を下ろすと。
「ねえ、食べさせてくれる?」
「もちろん」
「ラズベリーソース塗ってもいいよ」
「どこに?」
「メイクしなかったもん。僕の唇にさ」
僕らはどっぷり
2人きりの世界に浸った。
ひんやりとした銀のスプーンで
真っ赤なソースをすくって
「――動かないで」
九条さんが僕の唇に塗りつけてゆく。
「キキ」
「なあに?」
「君って最高だ」
だけど――。
「アン……」
「もう一度塗らなきゃ」
唇を寄せて
すぐに舐めとってしまうんだから。
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