episode190 Take Me Higher②

12/30
前へ
/30ページ
次へ
と――。 そんな僕らを横目に。 「あれ」 「やっぱりそうよ。ねえ」 年配のご婦人方が ひそひそ言いながら前を通り過ぎてゆく。 「お知り合い?」 「どこかで見たことあるな」 九条さんは気まずい笑いを噛み殺すと 「僕はきっと不貞の夫だと思われてる」 口端のラズベリーソースを舐めながら言った。 「それじゃ僕は、人の夫をたぶらかすまかりならない悪女かな」 ソファーに深く座り直し 僕は誘うように脚を組んで笑った。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

173人が本棚に入れています
本棚に追加