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「ま――それなら今と変わらないか」
言えば
黒いドレスの裾からのぞく
光沢のある絹の靴下に
「かもね」
よこしまな美しい指先が伸びてくる。
「ン……」
たっぷりと撫で上げるように
膝までたどり。
「どんな君も本当に可愛いよ」
腿の上で優しく円を描く。
長い睫毛。
牡鹿のような瞳が
釘付けになって僕を見つめる。
「――敬」
思わず僕は名前を呼んだ。
「もっと僕と遊びたい?」
物欲しげな指先を握ると
「……ん」
小さく答えて
九条さんは無垢な少年のように頷いた。
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