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「で、何のパーティー?」
「さあね」
地上70階の豪奢なラウンジには
生バンドの演奏と美味しそうなご馳走が並ぶ。
「とにかく、今夜僕らが楽しむためのパーティーだ」
いつになく楽観的な九条敬は
ウエイターから受け取ったグラスを
一つ僕に回して笑った。
「だけどお忘れ?」
「何?」
「あなた自分が妻帯者だってこと」
「そうだった」
本当に今の今思い出したみたい。
切れ者のくせにどこか天然なんだ。
「キキと遊んでちゃまずいんじゃ?」
それでも
九条さんはあたりを見回すと。
「平気さ――知った顔はいない」
グラスを合わせて
理想の女性キキと乾杯した。
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