173人が本棚に入れています
本棚に追加
「敬――」
名を呼ばれ
顔を上げた九条さんは。
「わっ……」
その瞬間
見たこともない表情で硬直し
みるみる青冷めた。
「お友達の奥様方があなただろうって言うからまさかと思ったけど……」
狼狽した女性の声に
重ねるようにして。
「おまえ、私たちのパーティーで何してるんだ!」
押し殺した厳格な男性の声が
僕の頭上を掠めてゆく。
「お父様……お母様……」
義兄の膝にまたがったまま
僕は知ることになる。
「九条家のパーティーとは知らずに……」
とんでもないことが起こったと。
最初のコメントを投稿しよう!