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九条さんは迷いなく
人前ですっぽりと僕を腕に抱き
「誰にも見せたくない」
独占欲の強い子供みたいに囁いた。
「逆だ。逆にみんながキキを見てるよ」
顔見知りがいなくても
九条敬は有名人だし。
「なら願ったり叶ったりじゃないか」
たとえ彼が誰だか分からない
外国に行ったとしても同じ。
「九条さん……」
人目を引く美しさは万国共通だもの。
「人前で僕とこうしたいと君が言っただろ?ん?」
皆が注目するの
分かっていて。
「九条さんっ……!」
女の子なら皆とろける視線を
僕に投げかけたまま彼は――。
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