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「嬉しかったんだよ――君の言葉が」
僕の唇のすれすれで
薔薇の蕾のような口元を綻ばせる。
「完全に僕の物になると言ってくれたこと」
たとえ一夜限りの気の迷いでも――と。
自嘲気に付け加えた九条さんは
「それで僕も――冒険してみようと思ったんだ」
僕の身体を壁際に隠すような形で
触れるか触れないかのキスを落とす。
「冒険って……他人のパーティーに忍び込むこと?」
「いやもっと」
「妻がありながら人前でよその女にキスすること?」
「いや」
笑みが失せると
「もっとだよ――」
王子様の柔らかな声音は
一際セクシーな深みを帯びる。
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