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「ねえ、ハニー。何もそこまでしなくていいんだよ」
僕は猫撫で声で九条さんをいさめる。
「僕は十分楽しいし――君は十分すぎるぐらい魅力的さ」
ここらへんで
先走る純粋な彼氏を止めないと。
「でも僕だって君の願いを叶えたい!」
「ならあっちに座ってショコラムースでも食べよう?ね?」
「でもこんな時、征司くんなら――」
えらいことに
なりそうだったから。
「九条さん……」
「彼ならきっと君が満足する方法を思いつくのに」
26歳の完璧な紳士が
「そんなこと――」
「僕は駄目だ」
ふてくされて。
いじらしい。
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