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episode190 Take Me Higher②
「おいで――」
「待って。僕の――いや私の名前を決めなくちゃ」
「名前か」
僕らがその気になれば
どこかのパーティーに忍び込むなんて朝飯前さ。
「これはこれは九条様」
「やあ。こちらは――」
高層ビルのラウンジ。
顔見知りのコンシェルに挨拶する
九条家の美しいサラブレッドは
「こちら天宮の遠縁の親友のお嬢さん――キキ嬢だ」
平然と適当言う。
「ハーイ」
「か……可愛らしいお名前ですね」
コンシェルは多少面食らった顔をして。
「キキって!」
「思いつかなかったんだよ」
「そんな名前の人間いない」
「さあ、どうぞ」
それでもにこやかに僕らを会場に通してくれた。
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