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次の日、私はいつもより早く家を出た。
電車と徒歩をあわせ、約40分の会社に真っ直ぐ出勤する。
おそらく始業の1時間前には到着するだろう。
早めに出勤する一番の理由は、自分のデスクの荷物をある程度片付けることだ。
もちろん、今日辞表を出して、今日辞められるなんて甘いことは思っていない。
引き継ぎもあるだろうし、抱えている細かい仕事もある。
それでも、身の回りの整理をしていくことで、この鬱屈した気持ちが少しはましになるような気がした。
また、そうでもしないと、決心が鈍ってしまうように思えたのだ。
(……やめるしかない、と思ったけど。本当にいいのかな……)
夜の決意は、朝の光により急激に弱くなる。
勢いに任せて書いた退職願いが、今は重い。
もうあの会社には居られない。その気持ちは変わらないのに。
でも……
(…伯父さんの顔を潰すことになるかもしれない…)
私は、紹介で今の会社に内定した―――いわば縁故入社だった。
大学時代、就職活動に出遅れて、なかなか内定をもらえなかった私を心配して、伯父が口を利かせてくれたのだ。
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