2024年

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季節外れのぬるい雨が、金木犀を容赦なく打ちつけ 「わたしの大好きなもの」がアスファルトに沢山叩きつけられて 雨の日の、彩度の落ちた景色の中で、それはそれは鮮やかなオレンジの小川が流れていた。 金木犀の川が流れているよ!と我が子が叫ぶ。 あの甘い香りの小さな小さな花たちは、腹立たしいほどの湿度と暑さを産み出す雨に負けていくのだな。 金木犀の小川を小さな手がすくう。 泥混じりの、香りも消えた、落ちた花たち。 明日はあの香りを嗅げるのだろうか。 10/19
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