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「……あ、あぁ、なるほど。異世界転生モノの漫画とかラノベによくあるオプションを付けてくれたワケだな」
若干狼狽気味に、それでも杉本が自分なりの解釈を口にすると、女の子はにこりと微笑みを浮かべて、
「まぁそんなところだ。飲み込みが早くて助かるよ」
「……そいつはどうも」
「さぁ、キミの進路も決まった事だし、そろそろ転生の儀式を始めようか」
「儀式って……あれか? 怪しい魔法陣の上とかに寝そべるやつか?」
「……それは、あれだな。キミの体を生贄にして何かを呼び出すタイプの儀式だな。転生の儀式はそういうのではないよ」
「だったら何すんだよ」
「わたしが親指でホールドした人差し指に力を込めて、キミの額を強く弾けばそれで儀式終了だよ」
「……それただのデコピンじゃね?」
杉本が気の抜けた声音で幼女にツッコんだ直後。
バチコーン!
いつの間にか、背伸びをしながら右腕を目いっぱいに杉本の額へと伸ばしていた彼女が、力強く転生の儀式を炸裂(さくれつ)させた。
「痛って……」
反射的に杉本が呟くのと同時に、額を押さえる彼の足元から金色の魔法陣が出現した。
「……ふぅ。これで、あと三十秒後にはキミの異世界ライフがスタートするけど、最後になにか言っておきたい事はあるかな?」
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